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(1)道のエコミュージアム 宇津ノ谷峠の基本的な考え方
※エコミュージアムとは
エコミュージアムとは、60年代後半にフランスの博物館学者アンリ・リビエールが構想した新しいタイプの博物館のこと。
(2)対象範囲
道のエコミュージアム宇津ノ谷峠の対象範囲は、宇津ノ谷峠周辺(日本坂)を対象とし、朝比奈川から安倍川までの旧東海道沿いとしています。
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明治7年、長さ510mの木橋「安水(あんすい)橋」が安倍川にかかり(大正12年鉄橋となり「安倍川橋」と改称)、川越交通が円滑になると峠越えの負担が大きく感じられ、これが日本で初の有料トンネルとなる明治トンネルを静岡、岡部の住民の力でつくるきっかけとなりました。 |
12世紀末源頼朝の命により駅家(うまや)が置かれたのが起源です。峠の治安維持や宿場として江戸時代に引き継がれ、天保14年(1843年)には、本陣1軒、脇本陣2軒、旅籠24軒、戸数211戸、人口は795人であり、東海道の中では小規模の宿場でした。 |
7世紀律令国家により、日本の交通は「駅伝制度」が確立し、主要な道には約16km毎に「駅」が置かれました。「駅」では非常時に使者が次の駅まで乗り継ぐ馬を提供していました。小阪は焼津の小川駅から静岡の横田駅までの中間点、険しい山道である日本坂の登り降り口でした。 |
日本坂は日本武尊(やまとたけるのみこと)伝説から名づけられた道で、奈良時代から平安初期の官道、駅家(うまや)の道(国道)でした。花沢の里は、「沢の始まるところ(鼻)」の意味の傾斜地の里です。集落の屋敷は石垣で築かれ、長屋門造の家並みが並んでいます。 |
鎌倉時代には御厨(みくりや)と呼ばれた伊勢神宮領の1つでした。源頼朝の命で有力な御家人が宿駅を設置した頃、岡部宿も誕生しました。この頃は、仮宿にあったと思われます。江戸時代に今の場所になりました。 |
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(3)道のエコミュージアム宇津ノ谷峠の整備方針
1) 地域資源をネットワークするルートの設定
2) わかりやすく地域を学ぶ環境の形成
3) コアゾーンの充実とサテライトゾーンの連携を図る
4) 当面コアゾーン内で出来ることから始める
(4)宇津ノ谷・日本で初めての道のエコミュージアム
宇津ノ谷一帯は、東西交流の接点、交通の要衝であるとともに、旅の難所として、古くは古事記や日本書紀にも記されている場所であり、古代から現代までの道の変遷が歩いて体験できる地域です。
日本武尊の東征の際に命名された日本坂は駅家の道として奈良時代から平安時代では日本の東西を結ぶ主要街道でした。平安末期から鎌倉、室町期では、伝馬の道であった「蔦の細道」がそれを担い、戦国時代から江戸時代は東海道、明治時代には明治の道、大正時代以降、トラック輸送や車両通行が多くなると旧国道1号となり、通行量がさらに増加すると昭和・平成の道路やバイパスがそれを担ってきました。それぞれの時代の日本の主要幹線であった道が、現在も利用できる道として残っています。
「道のエコミュージアム 宇津ノ谷峠」でこれらの道や資源を活かして、日本ではじめての道を題材にした道のミュージアム=屋根のない博物館としています。
(5)道のエコミュージアム宇津ノ谷峠の構成(コアゾーン)
1) 基本的な考え方
道のエコミュージアム宇津ノ谷峠は当面、コアゾーンを中心に展開する。コアゾーンには、静岡市と岡部町にある2つの道の駅をミュージアム案内拠点とし、魅力的な学びのルートを提供していきます。
2) 道のエコミュージアム宇津ノ谷峠の資源
■古代から現代まで宇津ノ谷の道づくり(Road)
それぞれの時代に主要幹線・官道(国道)のルートや道づくり、土木的な技術や資源等。
■宇津ノ谷の道に咲いた文化(Art&Roman)
和歌や文学、アート(浮世絵、墨筆、絵画、工芸品)など。
■宇津ノ谷峠道の伝説、伝承そして信仰(Legend)
日本武尊の伝説、信仰、伝承の対象なる資源や魔よけや祭りなどをこの地に係わる伝説や逸話など。
■宇津ノ谷の道をめぐる人々(Personage)
防人などの旅、戦いの旅、参勤交代の大名の旅など往来する人やその逸話など。 |
(6)道のエコミュージアム宇津ノ谷峠の構成
本ミュージアムは2つの「道の駅」を拠点に現存する過去・現在の道(蔦の細道、東海道、明治の道、旧国道1号、昭和トンネルの道、国道1号バイパス)の「6つの道」とその沿道の資源で構成します。
時代の変化、交通手段の変化により、宇津ノ谷峠を越える道の“標高”は変化してきました。
7)宇津ノ谷の6つの道
(8)学びの仕組み
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★道の駅(ガイダンス)
看板やパネルなどから道のエコミュージアムの存在や仕組みを知り、基本的な価値を理解する
・看板の設置(道の駅)・パネルの設営
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★道の駅(選択・資料収集)
ルートの特徴を理解し、選択する。
ルートごとの説明資料により、道をキーワードにした宇津ノ谷の歴史的、文化的資源について学ぶ
・ルート説明資料(マップ)
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★ルート散策
散策ルートを設定する
ルート説明資料により、ルート沿いの資源番号ごとの説明を理解しながら散策する
ルート沿いの資源ポイントには、既存看板の活用、道エコのマーク付簡易説明資料あるいはQRコードが掲載シートを配置する
・既存看板への表示(ロゴマークつき)
・簡易説明シート(マークつき)
・QRコード表示 |
■ルート沿いの学びポイントを示すマーク
■道のエコミュージアムのロゴマーク
■QRコードによる案内
i. 設置するスペースがないが説明板がほしい所(200文字程度)
ii. 説明資料がない場合(A4版程度の大きさ)
(9)散策ルート計画
宇津ノ谷の六道とそれぞれのテーマの資源を活かして、3つのルートを設定しました。ルートは安全に歩けることを基本に、それぞれ特徴に留意してあります。
ルート名称 |
ルート概要 |
主な活用資源 |
近代遺産ルート
解説マップPDF
約3km
(1時間30分
〜2時間) |
- 明治以降の道づくり、土木資源等をネットワークする
- 人が自由に行き来するようになり、さらに車の到来が道づくりや風景を大きく変えてきた。時代のニーズにより変化してきた地域の道を通して学んでいく
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・道の駅
・昭和・平成トンネル入口
・宇津ノ谷集落
・旧国道1号(安全注意)
・大正トンネル入口
・明治の道:明治トンネル
・木和田川砂防堰堤群
・つたの細道公園
・鼻取地蔵等 |
蔦の細道ルート
解説マップPDF
約2.5km
(1時間
〜1時間30分) |
- 律令時代に確立された日本の交通制度「駅伝制」について理解し、蔦の細道の重要性を示すルートとする。
- 伊勢物語で有名になり、多くの文人、歌人が題材とした道について学んでいく
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・道の駅
・蔦の細道
・つたの細道公園
・木和田川砂防堰堤群
・鼻取地蔵等
・昭和・平成トンネル入口 |
東海道ルート
解説マップPDF
約3km
(1時間30分
〜2時間) |
- 日本で最も重要な街道であった東海道について学ぶルートとする。
- 宿駅制度、大名や外国人、文人墨客などの旅人が往来、現在の町並み整備等について学んでいく
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・道の駅
・昭和・平成トンネル入口
・宇津ノ谷集落
・東海道
・つたの細道公園
・木和田川砂防堰堤群
・鼻取地蔵等 |
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